評判を聞きつけた社長は、誰が毎日トイレ掃除をしているのか気にかかり、ある日こっそり見に行くことにした。
すると中途採用の新入社員が、額に汗して便器を磨いているではないか。
その姿に「今時、珍しい若者じゃ」とすっかり感心した社長は、この男を自分の一人娘の婿に迎え入れることに決めたのだ。
亘は喜んだが、社長の娘は嫌がった。
なぜ私が、よりによって、こんな取り柄のないような男と、結婚しなければならないのよッ! と憤っていたからだ。
しかし、毎日自宅へやって来ては、何も言わずにトイレ掃除ばかりを熱心にやる亘を、娘もだんだんと気になりはじめ、やがて結婚を承諾したのだった。
純白のウェディングドレスに、身を包んだ美しい花嫁が、恥ずかしそうに自分に微笑んだ時、亘はもう疑わなかった。
トイレ掃除をすれば、ウンがつく! と。
つづく