私は、結婚したら、死ぬまで添い遂げるものだと思っていた。
愛する人と一緒に、共白髪になるまで、ずっと楽しく暮らすものだと思っていた。
けれど、そんな事は、相当な覚悟がいるのだと、結婚当初の私は、果たして想像しただろうか。
否、しなかった。
そんな事を考えもしなかっただろう。
だって私は、目の前の人にぞっこんで、やっと手にいれた彼に夢中だったのだもの。
そんな私が、とうとうかつて愛していただろう(たぶん?)夫と、ついに別れを決意したのだ。もちろん、そこに至るまでには長い道のりがあったのだけれど……。
私が体験したことは、もしかすると、誰にでも起こることだったのかしれない。
長い年月をともに過ごした夫婦が、ある日突然別れるなんて、世間にはよくある、ありふれた光景だからだ。
けれど、あまりにもありふれた光景だからと言って、当事者にしてみれば、やはりこの世にたった一つだけの特別なことなのだ。
すべての人が違う顔を持つように、私が別れを決意した裏にも、さまざまなドラマや葛藤があった。
どうしてこんなことに……?
とは、突然やってきた運命に対し、唖然としながら、私がつぶやいた言葉だけれど、
それでもひとつひとつ丁寧に振り返り、ここに至った出来事をひも解いてみたい。
なぜあんなに愛し合っていた二人が別れることになったのか。
どうして愛は冷めるのか……。
永遠の愛なんてないのだろうか。
これは私が離婚を決意した物語。
そして、これから、ひとりで生きていくと誓った物語だ。
私は、今年54才、女ひとりで生きていきます。
つづく