ハナエさんは、そんなナナコに、部屋が狭いからそうなってしまうのではないかとアドバイスしてくれた。
部屋が狭いとそれだけでストレスが溜まってしまう、だからリョーヘイが暴れてしまうのではないかと。
なるほど、一理ある……とナナコは思った。
というのも、この間の警官たちに言われた事ではないが、リョーヘイがそんなに引っ越したがっているとは思ってもみなかったからだ。
それに最近ではこんな独り言もよく言っていたからだ。
あぁ、自分の部屋が欲しい❘と。
「……」
だから、ナナコにとって、家探しが急務となってしまった。
一刻も早く、夫が完全に壊れてしまう前に、音のしない、静かな場所を探し出す事が命題となってしまったのだった。
それなので、土・日は広告を片手にあちらこちらの住宅物件を見に出掛ける事が、以前にも増して多くなってしまった。
つづく