家庭内の諍いは、土・日には特に酷くナナコはそれを避けるためにも家探しに奔走した。
だが、どんなに不動産屋を回ろうが、どんなに物件を見に行こうが、なかなかこれぞと思う家には出合えなかった。
いいと思うものとは値段が折り合わなかったし、逆に値段が手ごろな物件には、住みたいとは思わなかった。そういうものは、大抵が古くて手を入れなければ住めなかったし、第一、前の住人が何十年にも亘ってつけた匂いが残っていた。
その匂いを嗅いだだけでナナコはゲンナリするのだった。
そのうちナナコは新聞の折込広告を見ただけで、それがどこにある物件でどんな間取りかということまで、ありありと思い浮かべることができるようになってしまった。それくらい近隣の売家は見尽くしてしまった。
だがそれでもリョーヘイが満足するような静かな場所、静かな部屋、それでいて、きれいな家というものは見つからなかった。
ナナコは気弱になっていった。そして時々、私たちが買える家などないのではないか、永遠にあのアパートに閉じ込められたままではないか、などと思うのだった。
そんなある日のこと、いつものようにナナコは不動産のチラシを持って出掛けた。
家にはおそらく明け方近くまで飲んでいたであろうリョーヘイが、カーテンを閉め切って眠っていた。仕方なくナナコは、隣の部屋でつまらないテレビをみていたが、この重たい空気に耐えられなくなり出てきたのだった。
つづく
昨日、ニュースを見ていたら、台湾の李登輝総統が亡くなられたとの
一報をしりました。
安倍首相も談話を発表していましたね。
日本と台湾の架け橋になった方だと。
本当にありがとうございましたとお礼を言いたいです。
大変な歩みをご苦労さまでした。
どうぞゆっくりお休みください、と。
☆それでは今日もよい一日を。