かつて子どもだった、すべての人に捧ぐ――。
ある日、小さな魂が雲に乗って地上を見下ろしていると、悲しそうな顔をした女の人が見えました。その傍らには、やはり沈痛な面持ちの男の人が、彼女の肩を抱いて寄り添っていました。
小さな魂が「どうしたのかな」と思って見ていると、神さまがやってきて言いました。
「私のかわいい小さな魂よ、どうか頼まれてくれないか」
「なんですか、神さま」
小さな魂は、神さまが大好きだったので、神さまの頼みなら、何でも聞いてあげたいと思っていました。
神さまは、こう言いました。
今、地上では子どもが出来なくて、苦しんでいる一組の夫婦がいる。だから、慰めてきてもらえないだろうかと。
「いいですよ」と小さな魂は二つ返事で引き受けました。そんなことお安い御用のような気がしたからです。
そこで小さな魂は、他の魂たちと一緒に地上へ降りていくことになりました。
つづく