トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

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「レンゲの花の咲く頃に」2

皆で一列になって、地上へ降りる順番を待っていると、他の魂たちも期待でワクワク、ドキドキしていることが分かりました。それを見ると、小さな魂も身が引き締まるようでした。

 

いよいよ、小さな魂の番になりました。

 

天使の合図のもと、小さな魂がふわり下へ降りていくと、いきなり強い力で引っ張られました。

 

「あっ!」と叫び声をあげる間もなく、真っ暗で、とても狭い穴に吸い込まれました。

 

息が出来ずに苦しくて、小さな魂がもがいていると、目の前が急にパッと明るくなりました。訳が分からずに小さな魂が戸惑っていると、いきなり逆さづりにされ、お尻をパンパン叩かれました。

 

あまりの痛さに、思わず「オンギャー!」と叫ぶと、お尻を叩いた白衣の男性が、「ヤア、男の子だ!」と言いました。

 

それから小さな魂は、目に涙を浮かべた女の人のところへ連れて行かれました。彼女は魂の小さな体を抱き取ると、「かわいい」とつぶやきました。

 

見上げると、その人は小さな魂がいつか見た、悲しそうな目をした女性でした。

けれど今はもうそんな表情を浮かべてはいません。

 

疲れ切った中にも、幸せそうな、愛おしそうな、そんな優しげな眼差しで小さな魂を見つめているのでした。

 

やがて女性は、にっこり笑うとこう言いました。

 

「ありがとう、翔くん、生まれてきてくれて。私がママよ、よろしくね」

 

その日から小さな魂は翔くん、と呼ばれるようになりました。

 

 

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つづく

 

 

 

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