皆で一列になって、地上へ降りる順番を待っていると、他の魂たちも期待でワクワク、ドキドキしていることが分かりました。それを見ると、小さな魂も身が引き締まるようでした。
いよいよ、小さな魂の番になりました。
天使の合図のもと、小さな魂がふわり下へ降りていくと、いきなり強い力で引っ張られました。
「あっ!」と叫び声をあげる間もなく、真っ暗で、とても狭い穴に吸い込まれました。
息が出来ずに苦しくて、小さな魂がもがいていると、目の前が急にパッと明るくなりました。訳が分からずに小さな魂が戸惑っていると、いきなり逆さづりにされ、お尻をパンパン叩かれました。
あまりの痛さに、思わず「オンギャー!」と叫ぶと、お尻を叩いた白衣の男性が、「ヤア、男の子だ!」と言いました。
それから小さな魂は、目に涙を浮かべた女の人のところへ連れて行かれました。彼女は魂の小さな体を抱き取ると、「かわいい」とつぶやきました。
見上げると、その人は小さな魂がいつか見た、悲しそうな目をした女性でした。
けれど今はもうそんな表情を浮かべてはいません。
疲れ切った中にも、幸せそうな、愛おしそうな、そんな優しげな眼差しで小さな魂を見つめているのでした。
やがて女性は、にっこり笑うとこう言いました。
「ありがとう、翔くん、生まれてきてくれて。私がママよ、よろしくね」
その日から小さな魂は翔くん、と呼ばれるようになりました。
つづく
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