トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

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「ホラーな彼氏」15

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学校から離れた所で、電信柱に摑まりながら、

ようやく私たちは一息ついた。

 

それにしても体が重い。思うように動かない。

息も切れる。膝が痛い・・・腰が痛い・・・。

眼がかすむ・・・。

 

ハアハア大きく息を付いていた私は、泣きたくなった。

何だかさっきよりも更に年を取ったような感じだ。

 

ふと見ると自動販売機があったので、私はヨロヨロと近づき、お茶を出した。

いつもなら炭酸系だが、なんだか急にお茶が飲みたくなった。

それも温かいのが・・・。

 

喉がからからだったので、震える手で飲んでいると、

それを横からヒョイと奪われた。先輩だった。

先輩は私からお茶を奪うと一気に飲んだ。

 

ゴクゴクゴクッ・・・とおいしそうに飲み干すと、

私を見て、にこっと笑った。

 

「―!」

その笑顔がまぶしかった。

 

テニスコートで輝いていた先輩そのままだった。

 

だけど―。

 

ボタボタボタ・・・と音がして、見ると、

先輩の内臓がまたもや落ちてきた。

 

お茶なんか飲むからだ。

体の中が刺激されて余計落ちてきたのだ。

 

しかも今度はプーンと臭いまでしてきた。

それは魚の腐ったような臭いだった。

 

「・・・・・・」

 

 

 

つづく

 

 

嫁の家出 (実業之日本社文庫)

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  • 作者:中得 一美
  • 発売日: 2020/02/07
  • メディア: 文庫