そんな私の目の前に阿古屋が立ちはだかった。
そして私は捕まえられてしまった。
阿古屋は私の羽交い絞めにして、先輩に言った。
「この子の首をへし折られたくなかったら、こっちへおいで!」
「・・・・・・」
先輩は迷っているようだった。
「早くッ!」
阿古屋が怒鳴った。
「・・・・・・」
先輩はゆっくりと阿古屋の方に近づいてきた。
阿古屋は壁に立てかけてあった魔法の杖を掴むと、
それを先輩めがけて投げつけた。
「うっ!」
杖は先輩を串刺しにし、魔方陣の描かれた床へ突き立った。
「先輩ーッ!!」
私は阿古屋の手を振りほどき、先輩に駆け寄った。
先輩は切れ切れの息だった。
私の目から涙がこぼれた。
「ごめんなさい、先輩。私が生き返らせなければ、こんなことにはならなかったのに・・・。本当にごめんなさい・・・」
床に貼り付けられた先輩はそれを見て、微笑んだ。
そして、右手でそっと私の涙をふき取った。
「・・・先輩」
先輩は昔のように私の王子さまだった。優しい王子さまだった。
私は先輩の手を握った。
先輩が何か言ったようだった。
「え?」
私は耳を近づけた。
「魔女の呪文・・・元に戻せ」
そう先輩は言った。
つづく