トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

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Mさんのこと

Mさんのこと
2007-12-08 12:38:48

テーマ:日々つつがなし・・・

 

時々、昔会社で一緒だったMさんのことを思い出す。


Mさんは冴えない中年サラリーマン。
小さな声でぼそぼそ喋るので、上司からは
「は?聞こえない?」とよく言われていた。

お弁当は会議室で一人こもって食べていた。
内側から鍵を掛けて食べるので、その間は
会議室を使えずに皆困った・・・。

そして時々、食べ終わった弁当箱を置き忘れるので、
どこからともなく異臭してきて、会議中、皆
「うっ・・・!?」となった。


そんなMさんの奥さんが病気で入院してしまった。
かなり悪いようで、長期になってしまった。

Mさんは普段の姿からは想像できないくらい献身的に
奥さんの面倒をみていた。

子どもの世話から、
毎日欠かさずの病院への御見舞い・・・

私たちはMさんの姿に感動していた。
少し見直していたのだった。

 

Mさんの奥さんが病から回復して、全快祝いが
執り行われることになった。


皆で「おめでとうございます。Mさんの献身のお陰ですね」
などと言っていると、奥さんが親しい人にボソッと漏らしたらしい。

 

ええ・・・。確かに主人はよくやってくれたと思います。

けれど、退院してきてからは、私を責めるんですよね・・・。

お前はあの時、病気になんかなってしまって・・・って。

 

・・・・・・。


その後、奥さんは口を濁されたそうなので、
具体的に何を責められているのか分からなかったのですが、

その話を私は
「ああ・・・」と感嘆を持って聞いた覚えがあります。


これも一つの真実の姿なんだなあ・・・と。

 


Mさんが献身的につくしたのは間違いないと思います。

彼はよくやっていました。

けれど、それだけじゃないですよね。

人間には感情というものもありますもんね。


奥さんが病気になって、大変だった、その不安や恐怖、
はたまた家事全般に関わるわずらわしさ・・・などなど・・・
いろいろなことが彼一人の肩にのしかかってきてていたのだと思います。

 

それが、全快して帰ってきたときに、一気に出てしまった・・・。


本当はMさんは、

大変だったんだよ―

という気持ちを認めて欲しかったのだと思います。


それが、病気で、仕方ないと分かってはいても、
理屈でなく、感情で、「責める」言葉となってでてきたのでしょうね。

 

そんな気がします。

 

うつ病患者に限らず、病人を抱えた家族、
高齢者や幼い子どもを抱えた家族・・・は、
本当によくやっていると思います。

みんな一所懸命です。

 

でも、一所懸命やると、どこかにひずみができてくるんですよね。

せめて私たちだけでも、家族の者だけでも、

ふぅーっと息を抜く瞬間、時間をたっぷり持てるといいですよね。


そうしたら、また優しくできるのだと思います。

 


あれからももう何十年も経ってしまいましたが、
いまでもMさんのことは、時々懐かしく思い出してしまいます。

 

 ↑

今も思い出します…。

 

 

☆それでは今日もよい一日を。