翌朝、リョーヘイは起きられなかった。
ツトムを学校へ送り出した後、ナナコはパートへ出掛けた。出掛ける前にリョーヘイの様子を見に行くと、口を半開きにした状態でだらしなく眠っていた。
「……」
その姿を情けなく思いながら、玄関へ出ると、椅子の上には朝方帰ってきたニャン太が、こちらも大きな腹を見せながら、だらしなく寝入っていた。
「まったく男って奴は―」
腹立たし気にそうつぶやくと、ナナコは外へ出た。
しょーがない、帰ってきたら、夕べのことはみっちり話そう。そうしたらリョーヘイはいつものように、照れ笑いを浮かべながら、
「ごめん、もう酒はやめるから」なんて言うだろう。そうしたら、私も笑って許してやろう。「もう二度と飲まないでよ」とか何とか言いながら。そう、明るく笑い飛ばしてやろう、ナナコはそんな風に思っていた。
だが、一回だけだと思っていたリョーヘイの奇行はその夜から頻繁に表れるようになってしまったのだ。
つづく