トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

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「ニャン太を探して」31

ナナコは、リョーヘイが初めて意識を無くしたその日の夕方、仕事から帰ってきて、唖然とした。

 

なんと、リョーヘイは、ナナコが出かけたままと同じ姿で寝入っており、一ミリたりとも動いてはいなかった。口は朝と同じようにやはり半開きのままで❘唯一変わっている所と言えば、その端から一筋の透明のよだれが流れ出ていることだけだった。

 

あまりの夫の変わりようにナナコは膝が震えてくるようだった。

何かが違うと思った。今までとは明らかにリョーヘイの様子は違っていた。こんな風に動かないなんてことはあり得なかった。夫の失態を笑って許そうと考えていたナナコだったが、その姿に震撼とする思いだった。

 

その夜、夕食時になってからリョーヘイはようやく起きてきた。顔は浮腫み、髪の毛はぼさぼさで、声も枯れていた。

 

ナナコとツトムはそんなリョーヘイに掛ける言葉もなく、ただ黙々とご飯を食べていた。リョーヘイは、二人には目もくれずに流しへ行くと、水をゴクゴク飲んでいた。そうして戻ってきた時には、すでに一升瓶を手にしていた。

 

「―!!」

 

それを見たナナコは、さすがに言葉を失った。何か怒鳴りつけてやろうかと思ったが、ツトムがいるのでやめた。

 

ピリピリとしたムードで食事は進んでいった。誰も何言わずに、ただひたすらご飯を口に運び、咀嚼した。テレビの音がやたらと大きく聞こえた。胃が痛くなりそうだった。

 

リョーヘイだけは開き直ったかのように、一人コップに焼酎を注いで飲み干すと、わざとらしくぷはーっとため息をつくのだった。

 

 

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つづく

 

 

みんなであそぼう~!