リョーヘイが帰って来た時に、そのことを話すと、
「ええっ!? 俺はやっていない、変だよ、それは」と顔を真っ赤にして怒った。
「でも、傷ついたって言っているから、修理してくださいって頼んだわよ」
とナナコが言うと、
「それは変だよ、ちょっと俺が行って話をしてくる」と止める間もなく飛び出して行った。
ナナコはハラハラした。
もうこれ以上の揉め事はごめんだった。落ち着かない様子で、部屋の中を行ったり来たりしていると、リョーヘイが笑顔で戻って来た。
「どうだった?」と聞くと、
「うん、結構話の分かる奴で、もういいって言ってくれたよ」と言う。
「え?」とナナコは意外に思った。
金田のあの様子じゃ、有無を言わさずという感じだったのにと思ったのだが。
しかし、まあ、リョーヘイがそう言うのなら、大丈夫なのだろうと安心していた。
つづく