その夜、リョーヘイは久しぶりに荒れた。
もちろんナナコが帰ってきたリョーヘイに詰め寄ったからだ。
「金田さんは、あなたが待ってくれって言ったのに何もしないから、請求書を持ってきたって言っていたわよ、一体どういうこと」
ナナコの言葉に、リョーヘイは困惑した表情で首をかしげた。
「ええッ、何を言っているんだ。俺はそんなこと言っていないよ」
だがナナコは執拗に食い下がった。
「何故こうなる前になんとかしてくれなかったの? 何故放っておいたのよッ?」
でも、ナナコは本当はこう言いたかったのだ。
ナゼ アノヒトニ ワタシタチヲ オビエサセルノ?
ナゼ アナタハ ワタシタチヲ マモッテハ クレナイノ―と。
だが、ナナコの言葉にリョーヘイは激怒した。
「何故お前は、あいつの言う事を信用して、俺の事を信用しないんだッ! お前はあいつと俺のどっちを信用するんだよッ」
そうして、ものすごい勢いで頭を掻き毟ると、「もういいッ! そんなに俺が信用できないのなら、俺はもう手を引く。お前が全てやればいい。やってもいない車の傷の修理代をお前が払えばいいッ!」と怒鳴った。
「……」
つづく