ナナコは一瞬、リョーヘイが何を言っているのか分からなかった。
しかし、リョーヘイは続けた。
「家族の行事とかにも参加してないって言われてきただろう?
参加したらしたで、不機嫌な顔しているとかなんとかって言われてさ。
だから、家族行事とかも今後一切参加しないことに決めたんだ。
これからは君たちだけで行ってくれよな。俺は絶対に行かないから」
それは実質、リョーヘイの家族決別宣言だった。
ナナコは何と言っていいのか分からず、混乱して、すぐさま言葉が出てこなかった。
「これからはお互い自立してやっていこう、な。だから俺の荷物はツトムの隣の部屋へ入れてくれ。俺は今日からあそこで一人で寝るから」
そう言うとリョーヘイはさっさと自分の荷物を、勝手に自分の部屋と称した洋室へと運び始めた。
「……」
ナナコは深いため息をついた。
またか、また始まってしまったか……。
しかし、ナナコはこの時までは楽観視していた。ああは言ったけれど、また落ち着けば元に戻るだろう、調子よく私の部屋へ来ては、
「ごめーん、あんなこと言って。許して」なんておどけた調子で言うだろうと思っていた。
だってせっかく家を買ったのだから、これからまた新しく三人で始めるのだから……。
だが、そんな予想はあっけなく覆された。
つづく