ところがそれからしばらくして、やはりナナコが夕食を作っていると、金田がやって来た。
そして、申し訳なさそうに頭を掻き掻き、
「これ、修理代です。よろしくお願いします」
と封書に入った請求書を渡すではないか。
てっきり決着が付いていると思ったナナコは、
「あれ? ウチの夫の話ではもう修理は宜しかったのではなかったですか?」と尋ねると、
「え? なんの話ですか? とにかく修理代よろしくお願いしますよ」
と急に荒々しい口調になった。
ナナコがごねていると勘違いしたらしい。
困ったナナコは、その夜、帰って来たリョーヘイに請求書を見せると、リョーヘイは
「どうしてそんなものを受け取るんだッ!」と激怒した。
「ウチは何もしていないんだ。何でそんなもの受け取るだんよ」と言うと、それを持ってまた金田の所へ行ったようだった。
しばらくして戻ってきたリョーヘイの手には請求書はなかった。
ナナコが恐る恐る尋ねると、
「とにかく、俺は石なんか投げていないんだから、もうお前は口出ししないでいいんだからなッ!」とだけ言った。
「……」
ナナコにはもう何がなんだか訳が分からなくなってしまった。
つづく