トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

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「ニャン太を探して」92

リョーヘイは、「やる、やる」と言いながら、一向に金田との話し合いをしようともせずに、まるで金田が諦めるのを待っているかのようだった。

 

ナナコはそんなリョーヘイにほとほと嫌気がさしていた。

また毎日のようにやってきては、家の前で怒鳴っている金田に対しても頭に来ていた。

 

だからある日、いつものように金田が来て、チャイムを鳴らした時、ナナコはゆっくりとドアを開けた。そして言葉少なに返事をした。

 

「はい? 何か?」

 

虚を衝かれた金田は一瞬ひるんだようだったが、すぐに請求書をナナコの鼻先へと突きつけた。

 

「奥さん、いい加減に払ってくださいよ。もう修理は終わっているんですよッ!」金田の鼻息は荒かった。

だがナナコも負けてはいなかった。

暗い顔つきで金田を睨みつけ、

 

「その件は、夫が話をすると言っているんです。もう少し待ってください!」それだけ言うと、扉を閉めようとした。だがドアが閉まる前に、慌てて金田は靴を入れてきた。

 

「―!」

驚くナナコに、金田は、

 

「あのね、もう待てないんですよ。こっちも工場から修理代はまだかって言われているんだ。こっちだって困っているんだよ! マジにお願いしますよッ!」と最後は泣きが入ってしまった。

 

「でも主人が……」となおもナナコが言い募ろうとすると―

 

「お宅のご主人だって、ちゃんと払いますから、もう少し待ってください、ってそればっかりで。一体、どうなっちゃってるんだよッ!」金田は吐き出すように言った。

 

え、払うって言ったの? リョーヘイが!? 

 

ナナコが混乱しているうちに、金田は、「じゃ、これお願いしますよ」と請求書を置いて行った。

 

「……」

 

ナナコは唖然とした。

 

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つづく