ナナコが返答に困っていると、金田は、
「この間、ご主人、石を投げていたでしょう。俺、ヤバイなぁって思って見てたんスけど、やっぱ朝見たら、傷が二つも付いてたんスよ。弁償してもらえますかね? 修理はこっちで出すんで」
と明るく言った。
リョーヘイが二階に向かって石を投げていたのは確かだし、それが跳ね返って車に当ってもおかしくはなかった。
あの時は暗かったのでよく分からなかったけれど……。
やったと言われると、こちらはグウの音も出ないのだった。
それにこれ以上、アパートの住人と揉めたくはなかったので、ナナコは黙って頭を下げた。
「すみませんでした。ではその通りなさって下さい」
つづく