「どういうこと?まるで先輩じゃないみたい?」
「さあね。時々あるのよね。なんかリセットされるというか、別人になっちゃうっていうことが」
ええ〜っ!!じゃあ、これは先輩の姿をした別人なのォ〜?
「まあ、いいじゃない?大好きな先輩が生き返ったんだから。さあ、帰った、帰った。そいじゃああんた、例のもの、頂くからね」
阿古屋さんはそう言うと、私たちをさっさと追い出し、ドアをバタンと閉めた。
月明かりが照らす中、私は裸の先輩と二人で、森の中をとぼとぼと歩いた。
なんで—なんでこんなことになっちゃったんだろ・・・?
あたしが考えていた結末と違う。
あたしはもっと喜んでくれて、相思相愛になれると思っていたのに・・・。
考え事をしていた私に、突然先輩が言った。
「じゃ、俺こっちだから」
私はきょとんとした。
「え、どこ行くの?先輩」
「どこって、俺ん家、こっちだから」とこともなげに言う。
まずいよ、まずいでしょ〜、それは!?私は泡喰った。
どう説明すんのよ〜。墓場から生き返ったって言うの〜!!!
まずいよ〜。
私は慌てて言った。
「せ、先輩のご家族は先輩が死んで、そのショックで引っ越しちゃったみたいよ。連絡付くまでしばらく私の家に居たらどうかしら?」
そう言ってしまってから、それもまずいよ〜!と頭を抱えた。
先輩と同居!?うちの親がなんて言うか!?
「え!?そうなの?お前ん家に?しょーがねえな。んじゃ、厄介になるぜ」
「どうぞ・・・」
私はもう泣きそうになっていた。
つづく