トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

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「ニャン太を探して」23

 リョーヘイの変化はそれだけではなかった。やたらと小言が多くなった。

 元々神経質な所があり、少しでも部屋が片付いていないと嫌な顔を見せていたが、それが今では、夕方帰ってくるなり、ツトムが玩具を出しっ放しにしていると、

「なんだよッ、これはーッ!」と怒鳴るようになってしまった。

そしてガシャン、ガシャンと猛烈な勢いで、それらを玩具箱に叩きつけるので、台所で夕飯の支度をしているナナコは、気が気ではなかった。

 

 しかし、玩具は細かいパーツに分かれているので、片付けても、片付けても、何かしらが落ちている。終わったと思って安心しているリョーヘイが、それらを素足で踏んづけてしまい、「痛—ッ!!」などと叫び声をあげるのが、ナナコには小気味よく感じられるのだった。

 

 夫が何かにイライラし、日々猛々しくなるのを感じていたナナコが、その朝いつものように、出勤前に新聞を読んでいると、ふとある記事に目がいった。

 それは、うつ病などの精神疾患も薬で治りますという内容だった。俄には信じ難いものだった。何故ならナナコは、精神の病は心の問題だとばかり思っていたからだ。それが薬で治るなんて—。

「……」

 ナナコの頭の中で、急速にぐるぐると今までのことが甦ってきた。

 リョーヘイの不眠のこと、アルコールのこと、そして最近の突飛な行動のこと……。

 

 うつ病が薬で治るのなら、もしかするとこの飲酒の問題も治るのかも……。ナナコには一筋の光が見えてきたような気がした 。

 

 

 

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つづく