トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

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「ニャン太を探して」72

重苦しい食事が終わると、ナナコはまだ食卓にしがみついているリョーヘイを残し、さっさと片付けてしまった。

 

そして、ツトムと二人で寝室へ入った。ここ最近またアレが始まっており、寝不足だった。少しでも寝ておかなければ体力が持たなかった。

 

うとうととしかけた時、激しい音で目が覚めた。

 

「出て来いーッ! コラーッ! テメェはそんなに気の小っちぇ男かよ。さっさと降りて来いッ!  降りて来て、勝負しろッ!」

 

リョーヘイだった。また見えない敵に向かって吠えているのだった。

 

ガンガンガン!

 

激しい音は、リョーヘイが箒の柄で天井を突いている音だった。
天井板が震えていた。

 

「もういい加減にしてよッ!」

 

ナナコは起き上がりそう叫んだ。

 

もう大声を出す事に何のためらいもなかった。

 

おそらくリョーヘイが暴れていることは、隣近所にも知れ渡っている事だろう。

 

特に一番の被害者である二階の住人が知らない筈はなかった。

 

だが、彼は大家や不動産屋に告げ口することなく、ひたすら耐えていた。

 

理不尽な都会の隣人に。

 

ナナコはそれをいい事に、今ではリョーヘイを平気で怒鳴りつけるようになっていた。

 

リョーヘイに身体ごとぶつかっていって制するということは、もはや無理だった。

 

リョーヘイは百八十センチ近くの大男で、力も強いのだ。百五十五センチ足らずのナナコなどがとても敵う相手ではない。

 

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つづく