リョーヘイは、今やすっかり人が変わってしまっていた。
ナナコが何を相談しても、全ては投げやりで我関せずだった。
彼はナナコたちが学校や仕事場へ出かけた後、昼過ぎになってようやく起きてきては、会社へ出掛けているようだった。
ようだった―というのは、あくまでナナコの想像でしかない。
一日中リョーヘイを監視している訳ではないのだから。
しかし、だからと言って自分に何が出来るだろう、とナナコは思った。
ナナコはリョーヘイの職場へ電話して確かめる、ということも出来なかった。
恐ろしくて、そんなことはとても出来ないことだった。
勤め先に迷惑をかけていることは充分承知していたし、何かしらの謝罪をしなければならないことも理解していた。
けれど、どうしてもそれは出来ないことだった。
うっかり電話でもして、電話口から猛烈な勢いで抗議が飛び出してきたらどうしよう、厳しく非難されたらどうしよう、と考えていた。
つるし上げを食うのは目に見えていた。それよりもこれからどう展望していっていいのかが分からなかった。
このことが、一体いつ収束するのかが分からないのだから。
そんな日々混乱の中にいる私に、一体、何が言えるというのだろう。
もうすぐ治まりますから❘などといういい加減な言い訳が立つのだろうか。
全く先の見えないこの状況で、一体、私に何が言えるというのだろう……ナナコはそう思い、ぐすらぐずらとこの状況の中に甘んじて沈んでいるのだった。
在りし日のニャン太…です。
つづく