トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

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「ニャン太を探して」73

寝室で騒いでいたかと思うと、リョーヘイは台所へ出て行った。そうして、またもやテーブルの上の物を倒し、冷蔵庫や電子レンジと格闘し始めた。

 

「やめて、やめて」といくら言ってもリョーヘイには届かない。

 

怒号と物の壊れる音、倒れる音など、凄まじい音が聞こえてきた。

「……」

ナナコは身体が震えてきた。もはや為すすべがなかった。ただただ一刻も早く酒が抜けるのを祈るだけだった。


ナナコが後ろから見ていると、ふらふらしながら何も倒すものがないと知ったリョーヘイは今度は流しの下の扉を開いた。

 

「―!!」

 

ナナコは絶句した。そこには、包丁が仕舞ってあるのだ。

「やめてーッ!」思わずナナコはリョーヘイの後ろからしがみつく。

 

リョーヘイは、ナナコを見て、ニヤリと笑った。まるで今初めてナナコに気づいたとでも言うような微笑だった。

 

ナナコはリョーヘイの手から包丁をもぎ取ると、「もう止めて」と哀願した。

 

「ねぇ、もうこんなこと止めてよ。一体何が楽しいの。一体どうしたいの? ねぇ、あなた一体どうしちゃったの……? ねぇ、ねぇったら……」最後は涙声になってしまった。

 

「……」

 

リョーヘイはしばらく焦点の合わない目でナナコを見つめていたが、やがてナナコを振り払うと立ち上がった。そして今度は玄関のドアに向かって突進していった。

 

「―!!」

 

ナナコは驚いた。

 

リョーヘイはこんな風になっても、まだ一度も外へ飛び出したことはなかった。

全ては家の中だけで収まっていたのだ。

 

それが外へ出るということは、世間に向って一家の恥を晒すということだった。

 

 

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つづく

 

 

*しばらく更新できなかったのですが、

今日からまた「ニャン太を探して」の続きをアップしたいと思います。

どうぞお楽しみください。

 

(と言っても、しんどい話なので、楽しめるかどうか…(*´ω`*))

 

 

☆それでは今日も良い一日を。

 

 

 もう、すっかり、夏ですね~☆