ツトムの方に振り向きナナコは静かに言った。
「ごめんね。お母さんも、ニャン太にこんなことはしたくないのよ。でももう今は時代が違ってきているの。ニャン太がトラブルを起こさずにウチの飼い猫として暮らすためには、こうするしかないのよ」
それを聞くと、ツトムはプイと横を向いた。
息子の心を傷つけたことで、ナナコは自分でも急速に気力が萎えていくのが分かった。
そして、リョーヘイの素知らぬ顔に腹が立った。この家ではいつもこうだ。
私が何もかも決めなければいけない。
相談しても、夫は何一つ決めてくれない、いつも私に嫌な役を押し付ける……!
ナナコは心の中で、リョーヘイを責め立てた。
つづく