トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

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「ニャン太を探して」46

そのとき、またまた戸をたたく音がして、こうさけびました。
「お姫さま、いちばんわかいお姫さま、
 わたしにこの戸をあけとくれ、
 あなたはわすれておしまいか、
 すずしい泉のわくそばで、
 きのうあなたがいったこと。
 お姫さま、いちばんわかいお姫さま、
 わたしにこの戸をあけとくれ。」
これをきいて王さまはいいました。
「いったんやくそくしたことは、やっぱりまもらなければならない。さあ、いってあけておやりなさい。」


グリム童話集1「カエルの王さま」より(相良守峯 訳/岩波少年文庫

 

 

第四章 崩壊

 

リョーヘイの状況は、一向に良くならなかった。


リョーヘイは、こんな状態になってもまだ、「記憶がない」「お前のウソだ」と言い張った。そうして、目が覚めると、しゃがれた声で、「うう、気分が悪い」とつぶやくのだった。


なら、お酒を飲まなきゃいいのよッ! とナナコは心の中で叫んだ。


ナナコにはどうしてもリョーヘイがうつ病だとは思えなかった。

ただのアル中にしか思えなかった。

お酒さえ止めてくれれば、お酒さえ飲まなければ、こんな状態にはならなかったのに、と思っていた。精神科の病院へ行っても一向に良くならず、むしろ悪化しているかのように見える夫に苛立っていた。

 


一体、何がどうなっているの―!?

 


誰かにそう聞きたくても、それに答えてくれる人はいなさそうだった。

 

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つづく