子どももこんな風にしてしまった。
夫との関係ももうどうすることも出来ない。
私自身、フルタイムで働く根性もなくて、ずっとパート仕事をしているし。
こんなことでこれから先やっていけるのだろうか。
社会で一人立ちするなんて出来るのだろうか。
そんな堂々巡りの中、いつの間にか目頭が熱くなり、深い眠りに落ちていくのだった。
もちろん、離婚を考えない訳ではなかった。
もともとリョーヘイは子育てに協力的ではなく、家族の時間も持とうとはしなかった。
リョーヘイにとっては、自分だけが大事なようで、ナナコやツトムの事は二の次だった。
それでも、いつかは家族の方へ向いてくれるのではないかとナナコは密かに期待していた。
もう少し、もう少ししたら、と。
だが、こんな風になってしまえば、それも徒労だったことが分かる。
私は間違っていたのかも知れない。ナナコの心は揺らいでいた。
あれ以来、二人きりになると、ハナエさんは「どう? 最近ご主人の様子は」とよく聞いてくれるようになった。
最初のうちは有り難かったが、そのうち段々と喋るのが億劫になってきた。
言っても仕方がないと言う事もあったが、言っているうちに段々と止まらなくなり、際限なく嘆いてしまうからだ。
止めようと思うのに止まらない。そういう自分が嫌だった。
ハナエさんは、ナナコの愚痴にもよく付き合ってくれた。
けれど、結局は最後、二人してため息を付くしかないのだった。
つづく