トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

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「ニャン太を探して」32

ツトムが寝入ったあと、ナナコはまだ一人酒を注いでいるリョーヘイの前へ座った。

「……」

リョーヘイは何も言わなかった。

「ねぇ」とナナコは声を掛けた。それでもリョーヘイは何も言わない。ナナコは痺れを切らして、「分かっているわよね」と鋭く声を上げた。

「何を?」怒ったようにリョーヘイは返事した。

「何をじゃないわよ、夕べのこと。一体どうしたっていうの? あんなに大声を出して」

しばらく考えるように目を泳がせていたリョーヘイだったが、やがて心外だとでも言うように、口を尖らせた。

「いやあ、覚えていない。何かの間違いじゃないか?」

ナナコは呆れて、

「間違いな訳ないじゃない!? 夕べは本当に大変だったんだよ、あんなに酔っ払って、大きな声出して。二階の人、起き出したらどうするつもりだったのよッ!」と激高した。

「……」

 

やはりしばらく目をキョトキョトして考えていたリョーヘイだったが、すぐに大きくかぶりを振り、

 

「いやあ、そんなことない。俺は何もしていない。君の勘違いだよ、俺がそんなことする筈ないだろう」ときっぱり言い切った。

ナナコは体の力が抜けた。

 

それじゃあ、何? 夕べのことは、私の妄想だとでも言うの?

 

「そうなんじゃない?」事もなげにリョーヘイは言った。

 

「君はそういうとこあるからさ」

 

「そういうとこって何よ?」

 

ナナコの声が刺々しくなる。

 

「そういうとこさ」

 

とリョーヘイは顎をしゃくった。そして続けた。

 

「やってもいないことをやったと言って、人を貶めるところ」

 

「……」

 

ナナコは唖然とした。何を言っているんだ、コイツは—!? 私が嘘をついているとでも言うの?

 

怒りのために、真っ赤な顔で睨みつけているナナコを無視して、リョーへイは、コップ酒を飲んだ。もうこちらの方を見ようとはしない。それは、これで終わり、もう話すことは何もないという、リョーへイの合図なのだ。

 

ナナコは黙って部屋を出た。だが、その胸には怒りが渦巻いていた。

 

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つづく

 

 

 こういうのも、とんとスーパーでは見かけなくなりましたね。