トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

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「ニャン太を探して」93

なんだよ、私には受け取るな、と言いながら、相手にはいい顔していたのか……、すべては自分が逃げおおすために―。

 

ナナコは腹の底からメラメラと怒りが湧いてくるようだった。

 

もう誰がお前の言う事なんか聞くもんか―!と叫んだ。

ふざけんなッ! あんたの為に、私やツトムがどれだけ怖い思いをしたのか、分かっているのッ! 

 

つくづく情けなく思った。

 

夫というものはこういうものなのか?

妻や子を守るのが仕事じゃないのか? 

 

それなのに、それなのに、逆にこんな怖い思いをさせて平気だなんて……。

 

ナナコは一気に気持ちが冷めていった。

そして、もう誰も信用出来ないと思った。

 

金田はもちろんのこと、夫さえも信用出来ない。

否、今は夫の方が信用出来ないと思った。

 

夫は、私たちを守るようなそんな人間ではなかったのだ。

自分さえ良ければそれで良かったのだ―

 

そのことが分かって、ナナコの心は芯から震えた。

 

 

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つづく