その日の夜、夕食時にナナコがその話を持ち出すと、リョーヘイもツトムと「え!?」と言ったっきり、押し黙ってしまった。
ややあって、
「反対! 絶対反対」と口火を切ったのは、ツトムだった。
「そんなのダメだよ、そんなことしたらニャン太が可哀相だよ」
そう言っている先から、もう目が潤んでいる。
「俺も反対」
床に寝転んで日本酒をちびちび飲んでいたリョーヘイが投げやりな口調で言った。そして怒りを込めて、
「ニャン太には大いに他のメスたちを妊娠させて欲しいと思う。猫ライフを楽しんで欲しいと思う。それに手術費用はどうするんだよ、結構かかるぜ」と言った。
それについては、ナナコも頭を悩ませていた。前に見てもらった動物病院に電話して尋ねると、「通常は、二万五千円だけれど、割引して、二万円でいいよ」と言われた。随分大雑把な丼勘定で、大丈夫かな、ここ……? と不安になったが、あいにく近くに動物病院はここ一軒しかなかった。
「前にニャン太を見てもらったあの病院にね、聞いたら、二万五千円のところ、二万円でいいって言われたの」ナナコがそう言うと、リョーヘイは、憮然とした顔で押し黙った。ツトムはもはや泣きそうな声で抗議した。
「絶対、絶対、絶対、反対! そんなことしたらダメだよ、ニャン太が可哀相だよぉ。ニャン太はオスなんだよ、おチンチン取ったら、女になっちゃうよ」
おチンチンじゃなくて、取るのはタマタマの方なんだけれどね、とナナコは心の中でつっこみをいれた。
つづく
母の日、お願い、にゃ~❤
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