空は晴れ渡っていた。風も気持ちよかった。
だが、この日のドライブは最悪だった。
不機嫌なリョーヘイは、一言も喋らずに黙って運転をしていた。
ナナコはその横で気まずく座っていた。
リョーヘイの運転は荒く、信号が多い道にも関わらず、前の車にピッタリ張りつき、相手にプレッシャーを掛けていた。
横から入ってくる車があると、所構わず、ピー、ピーと、クラクションを鳴らした。
「……」
リョーヘイはどんなに狭い道でもスピードを落とさず、急発進、急停止するものだから、その度に車はバウンドし、ナナコは気分が悪くなった。
一人ツトムだけは後ろの座席で、窓から顔を出し、風を楽しんでいた。
それは帰り道でのことだった。
混んでいる道を嫌ったリョーヘイが狭い路地へと入り込み、曲がりくねった住宅街の道を走っていた時だ。車は明らかにスピードを出しすぎていた。
両側から迫る庭の生け垣や竹藪などで前は見えず、時折バシッと車に当たる音がした。
「……」
つづく