トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

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「ニャン太を探して」85

家に入ろうとするリョーヘイをナナコは慌てて引き止めた。


そして、夕べのことは、大家さんにだけはちゃんと挨拶に行かなければならないと伝えた。

でなければ、今後は私たちが住みにくくなると。

すると、リョーヘイはあっさり「分かった」といい、夫婦揃って、近所に住む大家さんを訪ねることになった。

 

定年退職してアパート経営に乗り出した大家さんは、サラリーマン生活が長かったせいか、「男にはそんなときもありますって」と言って大声で笑った。

 

てっきり「出て行ってくれ」と言われると思っていたナナコは拍子抜けした。それは隣で照れ笑いしていたリョーヘイも同じ気持ちのようだった。

 

気が抜けた二人は、その晩は言葉少なく夕食も早めに済ませると布団に入った。

 

夕食時、「顔が痛い……」とつぶやいていたリョーヘイは、ご飯も食べずに焼酎をチビチビ舐めていた。

 

ナナコはそちらを見ずに、「病院へ行け、病院へ」とだけそっけなく言った。

自業自得だと思っていた。

寧ろこれだけの怪我で済んだのが奇跡なくらいだった。


玄関でニャーという声がしたので、ナナコはニャン太を入れてやった。

 

 

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つづく