トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

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「ニャン太を探して」107

ニャン太を追い出す形になってしまった夫婦は気まずかった。

だがナナコは努めて明るく言った。

 

「大丈夫。ニャン太はそう遠くには行っていないと思うよ。だって、猫にはテリトリーがあるからね。きっと新しい家も探し当てて来るよ」

 

「うん……」

 

ツトムは浮かない顔でそう返事した。それは信じていない証拠だった。

 

もうじき桜が咲くという頃に一家は引越しをした。

 

忙しく新しい家に荷物を運び入れていた時だった。夫の衣類も夫婦の寝室に入れようとしたナナコに、リョーヘイが改まった様子で言った。

 

「ちょっと話があるんだけれど」

 

「何?」

 

珍しく話があるという夫に、ナナコも手を止めてリョーヘイを見つめた。ナナコの視線を充分に受けながら、リョーヘイはこう切り出した。

 

「俺さ、これまでお前にさんざん、決断しない男だって言われてきただろう。早く決めろとかさぁ、急かされてさ」

 

「……」

 

「だからさあ、俺、考えたんだけど、これからはもう決断しないようにしようと思っているんだ。決断しないことを決めたっていうか」

 

「えっ?」

 

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つづく

 

 

暑い、暑い~(*´Д`)